大学選手権セカンドステージ、同志社対筑波戦はいうまでもなく両チームにとって重要な一戦です。
先立って行われる大東文化対慶応の試合結果によっては、同志社はこの試合で準決勝進出を決める可能性も出てきます。
一方前の試合大東に敗れ、現在勝ち点1の筑波は4トライ以上の勝利で勝点6を是が非でも取りたいところです。
両チームの実力は筑波がやや有利もしくはほぼ互角といったところでしょう。
会場が花園ということもあり同志社はホームアドバンテージが少しあるため、同志社にも勝つチャンスは十分あると思います。
筑波はFW、BKともに好プレーヤーがそろっています。
PR橋本大吾、崔凌也、LO中村大志、FL目崎啓志、占部航典、SO亀山宏大、CTB亀山雄大、鈴木啓太、WTB福岡賢樹、山内俊輝選手などは大学でも屈指の選手です。
いずれもフィジカル、フィットネスといったラグビーに必要な基本的な資質は大学トップクラスです。
一方の同志社も負けてはいません。
FWはFL末永選手を怪我で欠くものの、筑波に遜色ないばかりかやや優位に立っているかもしれません。
スクラムの強いPR海士、才田、HO東選手、泥臭く身体を張り続けるLO山田、森山選手、豊富な運動量と直向きなタックルでFWをけん引するFL丸山、野中選手、同じく豊富な運動量とむき出しの闘志でチームを鼓舞するNO8秦啓祐選手と突出した選手こそいませんが、いずれも高いレベルのプレーを安定して出せるようになっています。
なかでもFL野中選手にはさらなる奮起を期待しています。
攻守にわたる活躍で2年目にしてすでに関西屈指のFLとなっていますが、まだ全国屈指の選手とはいえません。
しかしそのポテンシャルは計り切れないものがあると思っています。直向きなタックルと密集でのボールキャリーは同志社にとって欠かすことができません。ただ、タックルを受けても前に出るというシーンをそれほど見ることができません。
高校時代から体幹の強さには定評のあった選手ですが、膝の怪我の影響があるからか、かつてのように突出した強さは影をひそめています。
この辺りは、タックルを受けるタイミングなどで相手の力をうまく逃がすなど、プレーのスキルを高めていけば相手チームにとってはさらに脅威のFLとなることは間違いありません。
BKも素早いパス回しで攻撃にリズムを作るSH大越選手、巧みなゲームメイクに加え、果敢に前に出るプレーでチームを引っ張るSO渡邉選手のハーフ陣も試合を重ねていくたびに錬度が上がっています。
特にフィジカルに課題があり、身体を張ったプレーが不得手な印象のあった渡邉選手ですが、今季は積極的に自ら突破を図るなど、随分逞しくなりました。
CTB永富晨太郎選手は天理戦でスペースを上手くつき唯一のトライをとっています。
また、慶応戦ではトライにつながる絶妙のパスをしています。視野の広さ、パススキルなどはすでにレギュラーとして申し分ありません。期待の大器は1年目にして早くもその才能を発揮しています。
今季Aチーム出場ではWTB安田、高野選手に先を越されていましたが、試合を重ねるごとに大きく成長します。筑波戦はキーマンの一人であることは間違いないでしょう。
もう一人のCTB林選手も闘志あふれるプレーで副将としてチームを引っ張っています。
これまではBKの数少ないラインブレーカーとしてやや強引なプレーも目につくことがありました。
今季はバックスに決定力のある選手が控えており、わき役としてチャンスメイクに回ることで攻撃の幅が広がっています。筑波戦でもトライにつながる突破を期待します。
関西リーグ第3節の立命戦から先発出場を続けるWTB氏家選手もシーズン終盤に入り、Aチームの試合にも適応してきています。Bチームの試合ではは決定力の高さを発揮していたものの、AチームではBチームの試合のようにトライをとることができていませんでした。しかし、もともとフィジカルの強さには定評があり、トライチャンスを確実に決め切る決定力を持っていました。
慶応戦でも数度のビッグゲイン、ディフェンスに絡まれながらのトライなど元来の強さを発揮しています。
絶対的エースWTB松井選手はいうまでもありません。
慶応戦でハイパントのキャッチで相手選手と接触、腰のあたりを強打しており、回復具合は気になるところです。
2年前の筑波戦で、「初めてスピードで負けた」と筑波の快足ウィング福岡選手に圧倒され、悔しさをにじませたコメントを残しています。今や日本でも随一のスピードを持つ松井選手です。
今回の筑波戦はその時の借りを返す絶好の機会です。福岡選手とのスピード対決はこの試合の見所の一つでしょう。
FB崎口選手も今シーズン後半に大きく成長した選手の一人です。安定したディフェンスだけでなく、ボールを持って前に出るプレーが、トライにつながる攻撃の起点になるなど攻守にわたる活躍をしています。
手堅いプレーが多かった崎口選手ですが、プレーに積極性が出てきたことで選手としてのレベルも確実に上がってきています。
こうやって見てきても同志社には能力の高い選手が集まっており、筑波にも決して引けを取りません。
筑波戦、しぶといディフェンで相手の攻撃を凌ぎ、決定力のあるBKで少ないチャンスをものにしてもらいたいです。
とはいえ、試合展開は予想がつきません。
筑波は大東戦のようにディフェンスがやや甘くなれば、決定力ある同志社が得点差を広げて勝利する可能性も十分あります。
また、その逆もありそうです。
やはりお互い勝敗を分けるカギはディフェンスになってくるでしょう。
同志社は勝つに越したことはありませんが、少なくとも勝ち点1を取れば、最終大東文化戦に勝利すれば自力で準決勝進出です。勝ち点獲得にこだわることも重要になってきます。
しかし、同志社は勝つことしか考えていないでしょう。良くも悪くもそれが同志社です。
やはり、勝利を大いに期待します。