2015年度関西Aリーグ第4節、同志社対摂南戦は同志社にとって今後を占う重要な一戦です。
共に2勝1敗ながら摂南は天理に敗れており自力優勝が一旦消滅しています。
一方の同志社は近大が1敗で並ぶ可能性があるものの、今後全勝を続けていけば自力優勝の可能性が残っています。
両チームとも優勝の可能性をつなぐには負けられない試合であり、2敗目を喫すれば優勝の可能性はほぼなくなるという必勝態勢で臨む戦いとなりました。
試合は前半2分、摂南NO8セコナ・トプイ選手が早速トライをあげます。
セコナ選手は180センチと上背こそそれほど大きくないものの118キロというPR並の巨漢ながら強さと走力を兼ね備えた破壊力抜群のトライゲッターです。
この試合も苦戦かと思われましたが、この日はFWが躍動していました。
5分のFL野中選手を皮切りにその後もLO山田、WTB高野、NO8倉本、HO山﨑選手もトライをあげ、前半を29-12で折り返します。
風上に立った後半は同志社が一気に突き放しにかかると思われましたが、後半最初に得点を挙げたのはまたしても摂南セコナ選手です。
しかし、ここから再び同志社の攻撃が機能し始めます。HO山﨑選手の2連続トライで突き放すと倉本選手が勝利を決定続けるこの日2つ目のトライで55-19とします。
終了間際またしてもセコナ選手にトライを許すというやや締まりの悪い終わりかたでしたが、今後に明るい兆しの見えた勝利だといえるかもしれません。
もともとFW、BKともに関西屈指の陣容です。
選手層を考えると当然ともいえる勝利ですが、初戦の近大戦に敗れると続く関大戦、立命戦もどこか不安の残る内容とここまで決して順調ではありませんでした。
この日も前後半の立ち上がりと終了間際での失点と近年の課題が浮き彫りとなった内容です。
それでもFW戦で終始優位に立ち、55得点を取っての勝利は評価すべきでしょう。
特にHO山崎選手のトライセンスは特筆すべきものがあります。
1年目の昨シーズンから優れたトライの嗅覚には光るものがありましたが、今季はさらに磨きがかかってきています。
密集から抜け出し、スペースを上手くついてのトライは簡単ではありません。FWはボールを持って前に出ようとするものの多くはディフェンスに阻まれてしまいます。他の選手には見えないスペースを瞬時に判断できるのでトライへ繋がるのでしょう。
また、ライン参加してのアタックも申し分ありません。
ハーフ団はSH大越、SO渡邉選手、CTBは12永富晨太郎、13石田選手です。
期待のルーキー永富選手は公式戦初先発となりましたが、同志社BKに新たな可能性を示したのではないでしょうか。
永富選手はパス、キック、ランと三拍子揃っている選手で周りを活かすことも自ら仕掛けることもいずれも高いレベルでの実践が期待できる選手です。
CTBはここまで石田、林選手のコンビで来ていましたが必ずしも機能的な展開ができていたとはいえません。
今回林選手が故障のため欠場、その代役として永富選手にチャンスが回ってきましたが、やはりCTB12は広い視野を持ち展開力に優れる選手が必要なことが証明されたのではないでしょうか。
永富選手はAチームでのプレーがまだ少なく連携には課題が残りますが、彼の展開力がBKだけでなくFWにもリズムを与え、効果的な攻撃に繋がっていたように思います。
選手を固定して起用する傾向の強い山神監督のことなので林選手が復帰すれば再び石田、林のCTBコンビを復活させるのかもしれません。
しかし、石田選手はCTB13のほうが彼の強さがより効果的に発揮されるでしょうし、林選手も然りです。誰を先発で起用するか迷うところかもしれませんが、今後はCTB12永富、CTB13石田もしくは林選手のコンビで起用を続けてほしいものです。
同じく公式戦初出場のFB光部選手も起用のめどが立ったのではないでしょうか。
光部選手はSO、CTB、FBと複数のポジションをこなし、パス、キック、ランとバランスの良いプレーができます。
この日はCTBでの出場でしたが、今季はFBとして出場することが多くなっています。
FBは今後も正確なタックルと献身的なプレーが身上の崎口選手が有力です。
光部選手は攻撃にリズムを与えられる選手ですし、彼を起用しても同等以上のパフォーマンスが期待できます。またCTBとしても効果的な働きを期待できます。
楽しみな選手が出てきました。
試合は55得点で大勝といえますが、26失点しています。しかもNO8セコナ選手に4つのトライを献上です。
モールからのトライとはいえやはりいただけません。
セコナ対策はしていたと思いますし、試合を通してはある程度対応できていたのかもしれません。
しかし、結果として4トライもとられているということはやはり十分では無かったということです。
常々思いますがこのあたりが関東の強豪チームとの違いなのでしょう。自らの強みを生かすことも重要ですが、相手の強みを消すことも同等かそれ以上に重要といえます。
この点を改善できなければ今後も大学選手権4強以上は難しいような気がしますが、同志社は当面変わることはなさそうです。
なかなか悩ましいです。
次戦は11月1日の京産戦です。
京産は摂南、立命に連敗していますが、前節の関大に続き今回、同志社を破った近大に勝利するなど徐々に調子をあげてきています。
選手層が薄く、やりくりがなかなか厳しいようですがもともとそのような状況でも実績を作ってきたチームです。苦戦が予想されていた昨シーズンも2位と結果を残しています。
今季は昨シーズン以上に厳しいといわれているようですが、ここまで2勝2敗と何とか踏ん張っています。
同志社が負けることはないと思いますが、しぶとく粘り強い試合運びをしてくる京産です。
油断は禁物です。
集中力を高め、次戦もしっかりと勝ち切ってもらいたいです。