大学選手権セカンドステージ第2戦、同志社は前年準優勝の筑波大学と対戦しました。

第1試合でプールCに入る大東文化大学が慶応義塾大学に40-14で快勝したため、この試合に勝利してもまだ準決勝進出は決まりません。
とはいえ、勝利するに越したことはありません。

前半26分、ペナルティゴールを決めた同志社が3点を先制します。
ここまで同志社は何度か筑波陣内でチャンスがありましたが、ラインアウトのミスなどでなかなか決定機を得ることができません。

なかでも決定的チャンスとなりそうな場面が前半16分過ぎのシーンです。FB崎口選手が同志社陣内10メートル付近からラインブレークすると一気に筑波陣内へ攻め込みます。
筑波陣内10メートル付近まで一気にゲインすると大外に待っていたWTB松井選手へのパス。ディフェンスは追いついておらずこのパスが通っていればトライはほぼ確実な状況です。
しかし、焦ったのかパスが乱れ決定機を逃します。
その後もチャンスは続き、フィールドの右隅から左隅へと大きく展開WTB氏家選手からLO森山選手と繋ぎますが、その後のペナルティでチャンスをものにすることができません。

シーズン終盤同志社はディフェンス力が上がっていますが、それでも勢いを大事にするチームです。
これらの攻撃でトライをとっていれば一気に流れをつかむことができたかもしれません。

LO森山選手はアッタクラインの最後尾でボールを待っていることがよくありますが、この攻撃ラインが上手く機能したことはほとんどありませんん。
この日も氏家選手からパスを受け、ディフェンス1人を振り切ればトライという場面でしたが、簡単にタックルで倒されています。
森山選手は190センチ100キロという同志社では数少ない大型プレーヤーです。
チームの戦術もあると思いますが、森山選手には確率の高くないアタック参加よりもブレークダウンで常にファイトする姿を見せてもらいたいです。

その後28分に筑波SH木村選手、35分にはLO渡邉選手が続けてトライをあげ、3-12とリードされます。
一方同志社も終了間際にWTB松井選手がトライをあげ前半を8-12で折り返します。

前半29分に山崎選手に負傷交代したHO東選手はどうもラインアウトが安定しません。ラインアウトのスローイングはメンタルが大きく影響するプレーですが、やはり苦手意識があるのでしょう。
最初に続けて上手くいけば安定して投げることができるかもしれませんが、おそらくそれはあまり期待できないと思います。
怪我の状態もあると思いますが、大東文化戦のHOをだれが務めるかも気になるところです。

筑波のように総合力でやや上回る相手に勝利するには、決定機に得点を上げておかないとなかなか勝利を手にすることはできません。
後半の巻き返しを期待しながらもやや不安残る前半の内容でした。

後半最初に得点をあげたのは筑波です。
筑波は後半の序盤に一気にピークを持ってきます。
6分に再びSH木村選手がトライを上げると、8分にはWTB福岡選手がトライを上げ、26-8とリードを広げます。

前半もFWでやや劣勢に立たれていましたが、後半も筑波の勢いが同志社をやや上ります。
勝利が遠のくかと思われましたが、17分にWTB松井選手が粘ってトライ、24分にはNO8秦啓祐選手がトライを挙げ22-26と4点差に迫ります。

しかし、反撃もここまででした。

26分にWTB福岡選手がトライを決めると、32分に手堅くペナルティゴールを決め22-36の14点差とされ勝利が遠のきます。

同志社は準決勝進出のためには少なくとも勝ち点を1つとっておきたいところです。もう一つトライを挙げることができれば4トライ以上で1ポイント、7点差以内の敗戦であればさらに1ポイント上積みできます。

終了間際にゴール前まで攻め込みますがあとわずかというところでゴールラインをとらえることができず、最後はモール停滞で筑波ボールのスクラム。
最後は筑波がボールを蹴りだしノーサイド。

22-36で同志社が勝ち点をあげることができずに敗戦です。

総合力でやや上回る筑波が順当に勝利した試合ともいえそうですが、同志社にも勝つチャンスはあったと思います。

互いにミスはありましたが、決定機を確実にものにした筑波に軍配が上がったということでしょう。

期待のCTB永富晨太郎選手は、絶妙のパスやラインブレークなど光るプレーも随所にありましたがこの試合ではそれほど目立つプレーをすることができませんでした。ただ、確実に攻撃の幅は広がっています。来季は確実に同志社の中心選手になることでしょう。

同志社は敗れはしたもの、次の大東文化戦に4トライ以上の勝利で準決勝進出を決めます。勝ち点5でも大東文化に2ポイント以上取られなければ、同じく準決勝進出です。

大東文化には188センチのLO長谷川崚太太194センチのLOタラウ・ファカタバ、195センチのNO8アマト・ファカタヴァ、188センチのWTBラトゥ・クルーガー選手といったパワフルな大型プレーヤーに加え、巧みなパススキルと切れ味鋭いランが魅力のSH小山大輝選手など局面を左右するキーマンが複数います。

特に果敢なランで決定機を演出する小山選手は要注意です。
大東文化は大学選手権に入り課題だったディフェンスが改善されています。筑波戦では最後までディフェンスが踏ん張り優勝候補を粉砕しました。慶応戦でも終始優位に立ち快勝しています。

同志社は自分たちのラグビーをすることも重要かもしれませんが、やはり最も重視することは勝つために最善を尽くすということです。
相手の分析を綿密に行い、大東文化のキープレーヤーを封じることこそ勝つための近道です。