関西Aリーグ第5節、同志社大学は京都産業大学と対戦しました。

同志社はここまで3勝1敗、京産は2勝2敗と上位を狙うにはお互い負けられない試合です。
両者は昨シーズンも第5節で対戦しており、この時は27-29での接戦を落としています。試合を通して同志社が優位に進める時間が長かったと思いますが再三のハイパントに苦戦していました。
この試合で敗れると続く関学戦に連敗、優勝を逃すきっかけとなった試合です。
今回はその雪辱を果たしたいところです。

同志社は開始早々に失点する傾向がありますが、この日先に得点をあげたのは前半7分LO森山選手です。
幸先の良いスタートかと思われましたが、10分に京産SO高原選手にペナルティゴールを決められると、22分には京産WTB松井選手にトライ(ゴール成功)を返され、5-10と逆転を許します。

先制点をあげたことで安心したわけではないでしょうが、このあたりの試合運びのまずさはなかなか改善されません。

その後FL秦佳祐、FB崎口選手の連続トライで26-10とリードして前半を折り返します。
2トライの活躍などでマン・オブ・ザ・マッチを獲得したFL秦、同じく2トライのFB崎口両選手は勝利を大きく引き寄せた働きをしたといっていいでしょう。

後半先に得点を挙げたのは京産です。11分NO8山本選手がトライをあげ(ゴール成功)、26-17と詰め寄ります。

14分高野選手が快足を飛ばしトライを取り突き放しにかかりますが、それほど簡単に勝利の女神は微笑みません。
追いすがる京産は32分、NO8山本選手がこの日2つ目ののトライをあげ(ゴール成功)、33-24として9点差。
京産には接戦で競り負けることが多い印象があり、終了間際での逆転が危惧されましたが、ロスタイムに秦選手がダメ押しトライを決め40-24で勝利をあげました。

個々の能力で上回る同志社の順当勝ちといったところかもしれませんが、やはり課題は山積したままです。

スクラムはやはり才田選手の存在が大きいようですし、モールディフェンスも昨年からそれほど進歩がありません。

才田、末永、松井選手という攻守の要が不在とはいえ、それでもなお京産を圧倒できる戦力は保持しているはずです。少なくとも60-5くらいで勝利してもおかしくないように思います。

関西リーグも終盤に入りましたが、今後は1か月で2試合と日程には余裕があります。
とはいえ課題であるディフェンスの整備など見直すことは一つや二つというわけではなく、そのための時間はそれほど多く残されてはいません。

今季は早稲田に60-24で勝利したことで、期待値も最大瞬間風速的に一気に沸点に達しました。
しかし、その後厳しい現実に直面します。
大勝したのは同志社が強かったわけではなく、早稲田が単に弱体化したに過ぎなかったことはその後の戦いを見れば明らかです。
慶應に勝利してはいるものの内容的には褒められたものではありませんし、明治、筑波、東海には敗れています。

このことを考えると全国的にはベスト8あたりのチームとみるのが妥当なのかもしれません。
個々の選手の素材や能力を考えるとベスト4を狙える戦力はありそうですが、シーズンも終盤に入り、チームとしても仕上げの時期にきています。これから大きなレベルアップはそれほどあまり期待できません。

しかし、同志社にはまだまだ発展途上にあり、成長の余地が十分にあります。
この日活躍した秦選手はやはり大きなポテンシャルを持っていることを再認識させてくれました。
同志社では少数派である熱情型の選手ということに加え、強いフィジカルと豊富な運動量を兼ね備えています。
今季の起用を見る限り監督の中では不動のレギュラーではないようですが、同志社FWには不可欠な選手です。末永選手不在の中、FWのキープレーヤーの1人ですし、今後もトライを積極的に狙ってもらいたいです。

京産戦ではもう一人才能の片鱗を見せてくれた選手がいました。
静かな闘志を燃やし続けるFB崎口選手です。安定感のあるディフェンスに比べ、オフェンスではそれほど存在感がありませんでした。
常々もう少し積極的に攻撃参加をしてほしいと思っていましたが、この日はようやく高い攻撃力を証明してくれたのではないでしょうか。

トップスピードで入ってくる選手を精度の高い激しいタックルで仕留める能力のある選手です。アスリートとしての能力が高く、動体視力に優れているので、速い動きも正確に捉えることができるのでしょう。
その身体能力を攻撃に活かせないわけがありません。
彼に必要なのはリスクを恐れない積極性と自らに対する揺るぎない自信なのかもしれません。

FBという最後の砦としては、リスクを最小化するようなプレーを心掛け、攻撃よりディフェンスを重視しているように見えますし、それを自身の役割として理解しているように感じます。
しかし、果敢な攻撃参加によりディフェンスが手薄になり、時にピンチを招いたとしても、彼の攻撃力は補って余りあるプレーができるのではないでしょうか。
次戦でも積極的に攻撃を仕掛けていってもらいたいです。

関西リーグも残り2試合を残すのみです。
ディフェンスを徹底的に見直して、関学には10点以内、天理には20点以内におさえて勝利を期待します。
これまでのような、得点を取られてもそれ以上に取ればいいという考え方では帝京はもとより、東海や明治など関東の強豪チームには決して勝利を期待することはできません。

強いFWに加え、決定力のあるBKが選手が揃っている同志社です。
ディフェンスを踏ん張れば東海や明治などにも勝てるチャンスはあると思うのですが・・・

とにかくしぶとく、粘り強い試合運びをしてもらいたいです。