2014年関西リーグ、同志社対関西学院戦を見て、落胆した同志社ファンは多かったこと思います。

しかし、この敗戦後、同志社ラグビー部はやや上向きます。

関西リーグ、シーズン最終戦となる立命館大学戦では、初戦の天理大学戦で見せたような積極的に前に出るディフェスが機能します。

加えて、スクラムとラインアウトが安定します。

この試合でスクラムの要、才田が右ひじの脱臼により途中交代を余儀なくされますが、変わった海士も奮闘します。
スクラムはその後も優位に進めます。

ラインアウトも、関学戦に比べると格段に良くなっていました。
同志社EVEの休日期間を使って合宿を敢行、ラインアウトなどのサインプレーはすべて作り直したそうです。

そう、やればできるのです。
しっかりと対策を練れば効果が表れるのがラインアウトです。

結局この試合終盤スクラムによるペナルティトライなどで後半突き放しは27-19と勝利します。

わずか1週間の合宿で劇的に改善されたラインアウトです。
関学戦ではサインがことごとく読まれていたということですが、お互いの試合の視察状況でそのあたりは容易に推測できるはずです。

重要な一戦となる関学戦の前に、なぜラインアウトの再構築をしなかったのか疑問が残ります。
おそらくは練習メニューューのプライオリティが異なることのよることが原因かと思われますが、それもエクスキューズにすぎません。


・ラインアウトの重要性


直接得点ににつながる可能性の高いラインアウトをなぜ毎年軽視しているの理解に苦しみます。

繰り返し練習してきたアタックやディフェンスの練習時間をシーズン終盤にある程度削り、代わりにラインアウトのサインプレーの再確認の時間に回したとしても大きな問題にはならないはずです。
むしろセットプレーの質が上がり、得点の可能性が高まります。

毎年のように繰り返される稚拙なラインアウトに苛立ちを覚える同志社ラグビーファンは少なくないと思います。

ラインアウトなどのセットプレーやプレースキックの精度が関東の強豪チームとの差といわれて久しいですがなかなか改善の兆しをみせません。
プレースキックに関しては抜群の精度を誇る渡邉夏燦選手がいますが、関西Aリーグでの先発はわずか2試合とキック以外のプレーでは監督の信頼を得られていませんでした。

同志社が大学選手権で関東の強豪チームに接戦を演じても結局は敗れてしまうのは、このような一見小さいと思われるプレーの精度の違いによるものだと思います。

ラグビーは実力通りの結果になりやすスポーツです。
このことを鑑みれば、実力が接近している場合、セットプレーの精度が低い同志社は勝つ可能性が低いことを意味しています。

実際ここ数十年その通りの結果になっており、関東の強豪校に対し7点差以内の接戦ではすべて競り負けています。
本当に見事に競り負けています。

関東の強豪チームに7点差以内の接戦で勝利したのはなんと1988年(昭和63年)の早稲田戦23-17での勝利が最後です。それ以降はことごとく負け続けています。

ちなみに強豪とはいえない中央には1998年度に18-13で勝利していますし、今季も立命館には43-42で勝利しています。


◆1989年以降7点差以内の敗戦

1989年度 大東文化 17-19 ●

1992年度 関東学院 10-14 ●

1998年度 明治    15-18 ●

1999年度 慶応    19-25 ●

2002年度 帝京     24-26 ●

2003年度 早稲田    33-38 ●

2007年度 筑波     20-25 ●

2011年度 帝京    12-18 ●

2014年度 早稲田   17-18 ●



それにしても計ったように接戦に敗れています。
もはや伝統といっていいほどです。

これも、かつて3連覇を達成した時の自由奔放と形容される同志社のプレースタイルに起因しているように思えてなりません。

同志社のラグビーは自由奔放と形容されることがありますが、それもベースとなる基本プレーの高い精度が伴ってこそです。

この基本プレーを疎かにしているが故に、大学選手権優勝から何十年も遠ざかることはもちろん、接戦で負け続ける理由のような気がします。

次回は2014年度第51回大学選手権の同志社大学の成績を振り返ります。